朝酒、5
白楽天は自らを酔吟先生と称したほどの
酒好きだったが、酒量は多くなかった。少量ずつ
一日に何回も飲み、あくまでもほろ酔い気分を楽しんだ。
朝も独りで酔うて歌ひ
暮れも独りで酔うて睡る、
まだ一銚子の酒のつきぬうちに
もはや三度も独りで酔うた。
酒量が少ないと言ひたまふな
手軽に楽しめるのが何よりだ。
一杯また二杯
多くて三四杯とは過ごさぬ、
それでもう好い気持になり
身外の事は皆忘れる、
更に復た強ひて一杯やらうものなら
陶然として何も彼も忘れてしまふ。
一度に一石も飲む人は
ただ多いのをよいこととしてゐるが、
其の酩酊する段になると
私とちつとも違はない。
御免蒙る、大酒飲みは
ただ酒代を使ふばかりだ。
こういう酒の楽しみ方をする人であったが故に
朝酒を好み、またその楽しみを語って、人の心を緩やかに
した。













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