奈良茶飯、1
先に引用した「三都穴さがし」に、京者が江戸者、大阪者を
ののしる言葉に、「蚊帳を殺して鰹を買う食い倒れ」、
「皆食い倒れに拠り、煮売り多」くとある。
この「煮売り」というのは、現代で言うファーストフードである。
ようするに、「買い喰い」というのは、贅沢なことと考えられていた。
それが、江戸、大阪のような大都市は日常化していた。
三田村鳶魚が、「煮売りの発生」という文を書いているが、貨幣経済の
成長と共に都市生活者の間では、自分の家で出来るもの以外に、
身分の差は色々あったが、毎月一度か二度は、家族を連れて料理屋に
行くという、『仕癖』があった。鳶魚によれば、そうした習慣は旅により
普及した。旅に出れば貨幣を持ち外食せざるをえない。金を出して
珍しいものを喰うという習慣が、江戸に外食産業の発生を促がした。
享保の半ばまで江戸には、丸の内から浅草観音までの間に食い物屋
は無かった。皮肉にも、明暦の大火の後、元禄の地震火事の後、
各自が家庭で食べ物を調達できない事情があって外食産業が起こる。
蕎麦、鮨、天麩羅、さまざまなファーストフードが生まれる。
災害の後には、復興景気がおきる。いくばくかの現金を手にした労働者
は手っ取り早く空腹を満足させる『煮売り』の店に走る。
かくして『煮売り』の店が都市に繁盛す事となる。
この最初の頃のヒット商品というのが、『奈良茶飯』だった。
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Posted by: e-アフィリ | 2006.09.09 at 11:20 AM